エンターテイメントという体験価値は 未来を作ることができる
小島
ダイノジさんと言えば真っ先にDJが思い浮かびますが、大地さんの大胆な振り付けは夜な夜な考えた賜物なんですか?
大地
いやいや、基本的には大谷さんが作ってます。
大谷
ダンスが下手な人でも一緒にやれるのを狙っていて。エアギターもそうなんですけど、上手下手じゃなくて、見ている人がわかるようにそれっぽく見えることを大事にしてます。
大地
エンタメの本質と言えば、人を楽しませるってことじゃないですか。
大谷
俺、昔はエンタメの本質は『嘘の共有』だと思ってました。
例えば、コントの設定を喫茶店にしたとき、カランコロンと言ったらそれで設定がわかりますよね。あえて、「ドアないじゃん」って正しくツッコミいれてもなにも楽しくない。
コンサートのアンコールも一緒で、元からアンコール曲は用意してあるし、ファンもそれは知っている。けど、みんなアンコールって言うじゃないですか。
だからエンタメの本質は『嘘の共有』で、人間にしかできない文化的なものだと思って。
でも最近はちょっと違うと感じていて、『君はどう生きるか』って提示することなんじゃないかと。SNSで日常を物語みたいにみんなが紡いでそれを応援したり、誰もが主人公になっているのを見て考えが変わりました。
例えば、コントの設定を喫茶店にしたとき、カランコロンと言ったらそれで設定がわかりますよね。あえて、「ドアないじゃん」って正しくツッコミいれてもなにも楽しくない。
コンサートのアンコールも一緒で、元からアンコール曲は用意してあるし、ファンもそれは知っている。けど、みんなアンコールって言うじゃないですか。
だからエンタメの本質は『嘘の共有』で、人間にしかできない文化的なものだと思って。
でも最近はちょっと違うと感じていて、『君はどう生きるか』って提示することなんじゃないかと。SNSで日常を物語みたいにみんなが紡いでそれを応援したり、誰もが主人公になっているのを見て考えが変わりました。
小島
実は僕も似たものを本質として持っています。『ひとりひとりが主人公であり、体験する価値で未来を作ることができる』って。この一連の流れがエンターテイメントに通じるんじゃないでしょうか。
自分が好きなものは全てエンターテイメントなんですよね。例えば、ネジ工場でネジを一生懸命作って、「最強のネジが作れた!」と喜ぶのもエンターテインメント。イベント屋として、今後も人が没頭できるような体験を作りたいですね。
自分が好きなものは全てエンターテイメントなんですよね。例えば、ネジ工場でネジを一生懸命作って、「最強のネジが作れた!」と喜ぶのもエンターテインメント。イベント屋として、今後も人が没頭できるような体験を作りたいですね。
当事者であれば、どんな最悪な思い出もエンタメになる
大谷
自分が『当事者であること』が大切だと思っています。
例えば、俺は旅行で行きたい場所ができたら、すぐに行動に移すんです。現地の人におすすめされた美味しい店にもすぐに行きます。ただ、たまに閉まっている時があるんですが、そんなときはむしろ最高! だってその体験自体が面白いんです。後で愚痴がいっぱい言えるし、笑い話として語れるんですから。
「いいね。いつか行きたいと思ってたんだよ」と言うだけの人は、一生そのエンタメを味わえません。だから、もしアメリカに行きたいと思ったら、明日にでも行った方がいい。だって明日何が起こるか分からないし、後悔しながら死にたくはないですよね! だからこそ、当事者でいるのが一番だなって。当事者であれば、どんな最悪な思い出も、ネガティブな出来事も、ポジティブに変えることができるんです。
例えば、俺は旅行で行きたい場所ができたら、すぐに行動に移すんです。現地の人におすすめされた美味しい店にもすぐに行きます。ただ、たまに閉まっている時があるんですが、そんなときはむしろ最高! だってその体験自体が面白いんです。後で愚痴がいっぱい言えるし、笑い話として語れるんですから。
「いいね。いつか行きたいと思ってたんだよ」と言うだけの人は、一生そのエンタメを味わえません。だから、もしアメリカに行きたいと思ったら、明日にでも行った方がいい。だって明日何が起こるか分からないし、後悔しながら死にたくはないですよね! だからこそ、当事者でいるのが一番だなって。当事者であれば、どんな最悪な思い出も、ネガティブな出来事も、ポジティブに変えることができるんです。
大地
距離は遠ければ遠いほど、時間を掛けている方が絶対におもしろいです。僕がロケでアフリカに行ったとき、韓国の歌手のPSY(サイ)に間違われたことがあったんです。300人くらいの少年少女に囲まれて、「江南(カンナム)スタイルやって」って。もちろん全力でやりましたよ(笑)。
大谷
こんなインチキないですよ! こういう体験ができるのは、当事者であることがすごく大切なんです。
小島
ダイノジさんは表現者なので、僕らはその表現を100%引き出し、さらに120%にできるような空間作りに注力したいですね!さっきの『当事者であること』の話とアプローチは違いますが、エンタメを作り上げるという意味では、目指すところは一緒だと思っています。
ボアソルチpresents ダイノジ芸歴30周年記念 ONE MAN DJ LIVE ジャイアンナイトfeat.DJダイノジ1994-2024より
観客を楽しませることを一日中本気で考えることもある
大地
小島さんは舞台やステージを作ってくれてるんですよね。
小島
はい。他にも出演者の楽屋環境なども整えてます。
大地
どんなことを考えて作っているんですか?
小島
ステージに関しては、お客さんが会場に一歩入った瞬間に何を感じるかなどを考えて空間をデザインしています。「この先に進んだら、絶対に右を見るだろうな。じゃあ右を見た時に何があると良いんだろう」とか。そんなことを一日中本気で考えることもあります。お客さんの体験価値を高めることが、僕たちの仕事ですから。
大谷
フェスだと、よくフォトスポットが設置されてるよね。俺も自分が手掛けてるフェスが終わった後、みんながどこで写真を撮っているのか検索して調べます。
大地
インスタグラムとかSNSの普及もあって、写真を撮る場所を用意するのは今や必須ですね。
ネットやSNS、そしてフェスなどのリアル体験。両方がエンタメには重要
大谷
体感もすごく大事なんですが、今の時代、ネット配信やSNSも絶対重要です。俺たちはフェスで沸かせる力は、日本の中でも結構上の方だと思っているんですが、じゃあ配信を買いたいかってなると、まだ力が足りない部分があります。
DJダイノジにおいて、どれだけ熱いパフォーマンスが提供できるか、今でも改良し続けなければいけないと感じています。どこかで誰かが俺たちを待っていて、その人に向けてパフォーマンスする。それがいつ届くかわからないけど、ひたすらやり続けることが勝利につながる。配信も同じで、そういった人たちにファンがついてくるんです。
52歳の体力のない俺たちですけど、もう一度初心に戻って、汗をかきながら努力することが必要だと思いますね。
実は大地さんを焚きつけるのが一番大変で、毎日お尻叩いてるんですよ。
DJダイノジにおいて、どれだけ熱いパフォーマンスが提供できるか、今でも改良し続けなければいけないと感じています。どこかで誰かが俺たちを待っていて、その人に向けてパフォーマンスする。それがいつ届くかわからないけど、ひたすらやり続けることが勝利につながる。配信も同じで、そういった人たちにファンがついてくるんです。
52歳の体力のない俺たちですけど、もう一度初心に戻って、汗をかきながら努力することが必要だと思いますね。
実は大地さんを焚きつけるのが一番大変で、毎日お尻叩いてるんですよ。
大地
そうなんですよ。えへへ。
大谷
本当に大変なんです!
漫才も同じで、俺たちが普通にやったらウケちゃうから、油断しちゃうんですよ。でも、油断したやつは消えていく。だから一回一回、ちゃんとやっていくことを大切にしています。
漫才も同じで、俺たちが普通にやったらウケちゃうから、油断しちゃうんですよ。でも、油断したやつは消えていく。だから一回一回、ちゃんとやっていくことを大切にしています。
大地
常にスタートラインに立っている気持ちで、一から積み重ねていく。それが結果的に、さらにビルドアップされた俺たちに繋がっていくので。「熱いこと言って笑われるのが嫌だ」とか、 そういうプライドは捨てるべきだと思います。
大谷
僕らも配信を見てくれる人がもっと増えて欲しい。そのためには、毎日の積み重ねがないと、すぐダメになると思ってます。
物語化されるエンタメは、応援されるような人が一番強い
大谷
最近、弱いことが実は最強なんじゃないかと感じていて。例えば、成人式で新成人が暴れることがあるじゃないですか。でも、目の前にいるのが市長や偉い人じゃなく、4歳くらいの子どもが作文を読んでいたら、誰も暴れないんですよ。だって暴れたら格好悪いから。逆にみんな「頑張れ!」って応援したくなる。だから、実は応援されるような人が一番強いんじゃないかって思うんです。
大地
僕たちが若い時に体験していた芸能界とは違いますね。
大谷
そうなんです。今は応援される人が強くなってきているから、自分の物語を紡いで、応援してもらえる時代が来ているんだと思います。
小島
ビジネスも一緒だと思います。『ストーリーテリング』なんて言葉も流行ってますからね。表現者や有名人の方のような、会社経営とは別軸で活動されている方の方がビジネスの本質を理解していると感じることもあります。
僕はライターの知り合いが多いんですが、彼らは表現者ではないので、もったいないことに自分の価値を理解していないことが多いんです。例えば、 ある有名なライターさんとお仕事をすることがあるんですけど、彼はフィリピンでアクティビティツアーの会社もやってるんですよね。
僕はライターの知り合いが多いんですが、彼らは表現者ではないので、もったいないことに自分の価値を理解していないことが多いんです。例えば、 ある有名なライターさんとお仕事をすることがあるんですけど、彼はフィリピンでアクティビティツアーの会社もやってるんですよね。
大谷
まさに体験系のエンタメですね。
小島
そうなんです。でも、彼は「直行便が少ないからまだ渡航者が少ない」と言うんです。「あなたにはファンがいるんだから、そのファンを巻き込んでツアーをやればいいんじゃないですか?」と提案しても、「俺の人気はもう終わってるから」と言ってしまうんです。でも、街を歩けば男女問わず声をかけられるくらいコアなファンがいるんですよ。自分の価値に気づいていない。
だから、ダイノジさんのビジネスマインドは本当に素晴らしいと思いますし、自分たちの価値をちゃんと理解しているんだなって感じます。僕たちもビジネスをしている側として焦りますよ(笑)。
だから、ダイノジさんのビジネスマインドは本当に素晴らしいと思いますし、自分たちの価値をちゃんと理解しているんだなって感じます。僕たちもビジネスをしている側として焦りますよ(笑)。
経営者脳での『どぶ板営業』が面白い
大谷
僕ね、ここ2年くらい経営者と話す機会が増えたんですよ。それが面白すぎちゃって!経営者の脳みそって、全然違うんです。
小島
そうですね。
大谷
経営者脳って、俺は一つのことに尽きると思っていて、それは『どぶ板営業』! 100%これで間違いない!
若い人が社会人になってまず経験してほしいのは、200件、300件電話して、2件契約を取ること。その大変さを経験した人がビジネスで成功するんです。
経営者もそんな感じで、全然ラクして商売してないですよね。
若い人が社会人になってまず経験してほしいのは、200件、300件電話して、2件契約を取ること。その大変さを経験した人がビジネスで成功するんです。
経営者もそんな感じで、全然ラクして商売してないですよね。
大地
僕らもこの年になると、どぶ板営業でひとりひとりと向き合うのは大変ですよ。でも、それが楽しいんです。
大谷
チケット1枚、Tシャツ1枚が売れると超嬉しいんです。そして、お客さんの中に「元気でた!」「明日も生きてみよう」って思ってくれる人がいたらなって思うんです。
小島
きっかけは1つの行動から始まるんですよね。
大谷
そう!なのに、「今日のライブに来て」ってLINE1本送るだけでも怯える人が多いんです。
大地
俺も前はやってなかったんですけど、大谷さんに言われて始めたら、だいぶ変わりました。今では飛び込みで居酒屋に行き、飲みながらチケットを手売りしてます。
僕の顔を知らない人でも「どうも~!」って言って、ちょっと飲んで仲良くなることから始めるんです。
僕の顔を知らない人でも「どうも~!」って言って、ちょっと飲んで仲良くなることから始めるんです。
大谷
そうそう。最初に売っちゃいけない。
大地
若手で仕事ができない人は、すぐに売ろうとする。でも盛り上がってない中で買わせちゃうと、その人がライブに来た時に、楽しくない気持ちで観ることになっちゃうんです。
大谷
大地さんと楽く飲んだ想い出込みで、ライブに来て欲しいよね。そうすれば、めっちゃ楽しんでもらえるし盛り上がります。
大地
もちろん、ライブのコンテンツ自体も何年もかけてしっかり作ってる中で、俺たちのことを観ない、知らないような人たちがわざわざ観に来てくれてる中でウケると、快楽や面白さが全然違う。そして、楽しんだ人が「生のお笑いはすごいよ」と言って、次は友達を連れて来てくれるんです。
小島
まさに市場の開拓で、経営と同じですね。
大地
元々は居酒屋で偶然隣にいた一人の人から波及していく。それがすごく面白いんです。
狙いは通常から外れ、常識から逸脱してみる
小島
DJダイノジさんと言えば、パフォーマンスがスゴイですよね。お客さんがあんなに右往左往するのは見たことがないですよ。ダイブやモッシュとは空間の演出が違うじゃないですか。あれは狙ってるんですか?
大地
いろいろ勉強したりして狙ってはいるんですけど、あれだけ盛り上がってくれているのは回数をこなしたっていうのも大きいですね。
自由に踊っていただいて、「音楽の楽しみ方にこういうのがあってもいいよね!」って気持ちでやっています。
自由に踊っていただいて、「音楽の楽しみ方にこういうのがあってもいいよね!」って気持ちでやっています。
小島
なるほど。実は今度、ハイエストクルーで展示会をするんです。展示会って目的の9割9分が見込み客を呼び寄せることなんですけど、僕はその目的は1ミリもいらないと思っていて。じゃあ何やるの?って言われたら、「見たことないぞ。なんかわけのわからない会社が参入してきたぞ」って思わせたいんです。
大谷
なるほどなるほど。
小島
ちょっと内容は言えないんですけど、通常の売り込みから外れて、常識から逸脱しようと思って進めているところです。協賛社を集めたり、その協賛社同士をマッチングさせたりとか。どこもやったことがないんですよね。
大地
おもしろ!協賛社集めているって言われたら、じゃあうちもお願いできないかなって声かける人もいるでしょうし。
小島
誰もやったことがないことを企んでるところです。
「体験しよう」を作ることが エンタメの未来に必要不可欠
大地
エンターテイメントをやってる限り、絶対に大切にしたいことがあります。若い人たちや子供たちに、悲しいことや別れとかいろいろあるけど、全部含めて「生きているのは楽しいぞ」って。それがエンターテイメントの役割かなって思っています。
小島
命を紡いでいる感じがありますね。
大地
これから10年くらいでそれを伝えていきたいのと、あとは日本のローカルな地方を盛り上げていきたいですね。
大谷
宴会大臣みたいな感じで、まずはちょっと飲もうってところから始めてね(笑)。
小島
カッコいいですね。
僕は「体験しよう」を作ることが、今後のエンターテインメントの未来に必要不可欠だと思っています。物を買う消費からコト消費にシフトしてきている時代だからこそ、体験して想い出にすることが大切です。お客さんがふと思い出した時に語れるようなイベントを作りたいです。
これまではゲームショーやコンサルなど運営形式でやっていたんですけど、今年からリブランディングして、イベントの企画と制作もやらせていただくようになりました。今までとは違うプロジェクトなので、新しく演出家やプロデューサー、エンジニアとかその道のプロを集めていて、まるでエンタメ制作のアベンジャーズみたいなチームです。
僕は「体験しよう」を作ることが、今後のエンターテインメントの未来に必要不可欠だと思っています。物を買う消費からコト消費にシフトしてきている時代だからこそ、体験して想い出にすることが大切です。お客さんがふと思い出した時に語れるようなイベントを作りたいです。
これまではゲームショーやコンサルなど運営形式でやっていたんですけど、今年からリブランディングして、イベントの企画と制作もやらせていただくようになりました。今までとは違うプロジェクトなので、新しく演出家やプロデューサー、エンジニアとかその道のプロを集めていて、まるでエンタメ制作のアベンジャーズみたいなチームです。
大谷
めっちゃいいじゃないですか。社長、ちょっと一緒にやりたいですね!
小島
ぜひ!ダイノジのお二人の今後に期待させていただきつつ、一緒にエンタメを盛り上げられたら嬉しいですね。
出身地:大分県佐伯市
担当:ツッコミ
特徴:エアギターのパフォーマンスで知られ、日本エアギター選手権で優勝経験があり、世界大会でも優勝しています。また、幅広いテレビ番組や舞台に出演しています
出身地:大分県佐伯市
担当:ボケ
特徴:DJ活動も行っており、2005年から自身のDJイベント「ジャイアンナイト」を開始。サブカルチャーや音楽にも詳しく、ラジオパーソナリティとしても活躍しています